わかってはいるのだけれど、自分のためのちょっとした甘いものが欲しいだけの日に、炎天下を歩いたり、電車に乗ってまで出向いたりする気にはなれない無精な私がいる。
特に和菓子…!洋菓子の名店には事欠かない中之島なれども、和菓子店は意外と少ない。
ああ、ふらりと立ち寄れる駅近の和菓子屋さんがあったらいいのに——そんな小さな願望を抱えていたところに、ちょうどいいお店がやってきた。

▲大阪メトロ淀屋橋駅直結の商業施『淀屋橋odona』内ながら開放感のある雰囲気
淀屋橋の駅を出てすぐ、「YODOYABASHI Station One|淀屋橋ステーションワン」の地下一階に、その店はある。
2025年オープンの「森のおはぎ と キツネイロ」。
豊中で行列をつくる「森のおはぎ」と、その姉妹店である伊丹の人気どら焼き店「キツネイロ」、ふたつの菓子店が仲良く肩を並べていて、なんともありがたい。
▲アールが美しい壁とやわらかな電球の灯りの店内には、おはぎとどら焼きがずらり
「今日はどれにする?」なんて言いながら、ふたりでガラスケースを覗き込む。
雑穀入りの餅を粒あんで包んだものから、きなこ、くるみ、ココナッツ、ほうじ茶など、色とりどりのおはぎが並ぶなか、目に留まったのは淀屋橋店限定の「青のりと黒ごま」。
磯の香りと胡麻の香ばしさが効いた、ここでしか出会えない一品は外せまい。
▲おはぎ全種セット(8個)税込1,600円 ※内容と価格は季節によって変わります
「小ぶりなサイズだし、2、3個はぺろりだね」などと調子に乗り、結局8個とも買ってしまう。
紙袋には草花と蝶々のイラストが施されていて、これは陶芸作家・鹿児島睦さんの手によるものらしい。渡された瞬間から、心がウキウキと躍りだすかわいさ。
このままでも手土産になるし、何でもない日のおやつに自分たちで開けてしまうもよし。
▲土佐堀川の向こうには「大阪市中央公会堂」や「こども本の森 中之島」「中之島バラ園」など、落ち着くスポットがたくさん
エスカレーターで地上に出ると、川風の匂いがグッと濃くなった。
橋の向こうには中之島の緑が見えている。
オフィス街を一枚めくると、広い空が待っているのがこのエリアのいいところ。
▲川辺の木陰で過ごすおやつどきのお供におはぎはぴったり
ベンチに並んで腰を下ろし、箱を開く。
ひとつ、またひとつ、と手を伸ばしながら他愛もない話をする。
対岸のオフィスビルも、行き交うランナーも、この時間だけは少し遠い出来事のように感じられる気がする。
▲おはぎと一緒に購入した「木の実おこし」はカシューナッツやクランベリーの存在感に負けない黒豆の和の風味がお気に入り
日中はビジネスパーソンで賑わうこの界隈も、夕方以降や休日になると、途端に暮らしの匂いが濃くなるから不思議だ。
▲土佐堀沿いを散策するたびに気になっている証券会社の素敵な建物。いつか中も拝見してみたい
平日なら、仕事帰りに少し寄り道をして。
土日なら、あてもなく歩く延長で。
この店でおはぎを選ぶ時間がリセットボタンのようになってきたかもしれない。
▲北浜1丁目まで歩くと、ライオン像がお出迎え
「今日は、おはぎ何個分話そうか」
そんな甘くてやわらかい単位で時間を測ることのできる午後が、この街にはある。
部屋に帰りつくまでの道のりに、部屋と同じくらい心地のよい居場所をいくつ見つけられるか——“街と暮らす”って、きっとそういうことなんじゃないかな。
▲1個160円〜とお手頃価格なのもうれしい
森のおはぎとキツネイロ
森のおはぎ:
https://morinoohagi.jimdofree.com/
キツネイロ:
https://kituneirodora.jimdofree.com/
大阪市中央区北浜三丁目6番22号YODOYABASHI Station One B1F
11:00〜19:00
無休
