陸橋を渡った川向こうにある、アメリカンパイが評判の店——それが「ハニーバニー」だ。
店主の西田研さんと、パティシエの志保さんが、自らの手でリノベーションした空間は、1970〜80年代のアメリカンダイナーがそこに現れたような遊び心に溢れている。


タランティーノの『パルプ・フィクション』を愛する人なら、思わず頬が緩むはず。店名もその世界観から拝借したものだ。
店舗奥ではガラス越しにキッチンの様子も見ることができる
マイペースな改装工事が長期にわたって続くうちに、「何のお店ができるんだろう?」と近隣住民のあいだでじわじわと話題になっていたという。
店頭のショーケースには定番のアップルパイや季節のパイ、キャロットケーキがずらり
ショーケースに並ぶアメリカンパイや焼き菓子の見た目のキュートさに、いきなりノックアウト…!
バナナプディングパイ 570円(tax in)
アメリカンパイの生地である「練りパイ」は、フランスの伝統的な「折りパイ」の繊細さとは対照的に、バターが控えめでザクザクとした食感。本場よりも甘さを抑えているため、ボリューミーな見た目のわりに、ペロリと食べ切れてしまう。
たっぷりのシナモンシュガーと紅玉りんごの酸味がベストマッチ。「ハニーバニーアップルパイ」 520円(tax in)
メニューは、ふたりの役割分担が明快だ。甘い系のパイや焼き菓子は志保さんが担当し、惣菜系のパイやランチは研さんが手がける。
研さんが担当するセイボリーパイは11:30頃に店頭に並ぶ。イートインの付け合わせも絶品。手前「きのこクリームのミートパイ」580円(tax in)、奥「プルドポークライス」890円(tax in)、「カフェラテ」540円(tax in)
価格帯はパイが500円台、ランチも890円から——芦屋という街のイメージからすると、拍子抜けするほどお手頃だ。
でもそれは、芦屋生まれの研さんがこの街の本質をよく知っているからこそ出てくる数字。
「芦屋って、高いイメージがあるでしょう。ただ、なんでも高いわけじゃなくて、品質に納得できれば値段を受け入れる街なんです。代々この土地に暮らす人たちは、お金に対してわりとシビアで、適正価格に敏感な庶民感覚をちゃんと持っています」
あったかいパイとアイスの組み合わせもおすすめ!「ダッチアップルパイ」550円(tax in)のバニラアイスのせは+200円(tax in)
ふたりが独立前に経験を積んでいたのも、芦屋にあった人気イタリア菓子店。この街の食の空気をよく知るふたりには、長く暮らしてきたからこそ培われた芦屋の街への眼差しがある。
自分たちもまた適正価格で、誠実に商売をしていきたいと笑顔をみせるふたりに、この街で愛される理由が詰まっているように思えた。

世界観は確かに強烈。でも、研さんと志保さんが目指しているのは「好きな人だけが集まるマニアの聖地」ではない。本場のアメリカンダイナーのように、老若男女、いろんな背景を持った人が扉を開けて、それぞれの時間を過ごせる場所——そういう、間口の広い「ハッピーな場所」でありたいと言う。

店内で焼きたてのパイを食べ、コーヒーを飲んでくつろいで、帰りにお土産を一箱。
そんな芦屋の幸せが、気づけば習慣になっている人も多い。
HONEY BUNNY ashiya
https://www.instagram.com/honey_bunny.ashiya
兵庫県芦屋市松ノ内町10-17-101
10:00 ~ 18:00
水・木曜定休
